フィリピン人は、政府機関を通して受け入れ企業と雇用者が納得した上で雇用契約を結びます。そのため、失踪や契約期間中の退職といったトラブルは比較的少ない傾向にあります。
しかし、万が一に備えて必要になる手続きについて理解しておきましょう。
今回は、外国人労働者が契約期間中に突然失踪してしまった際や退職してしまった際の対応について詳しく解説します。
外国人労働者の失踪や退職の現状
日本では多数のアジア人労働者が就労しており、中でもフィリピンはベトナム、中国に次いで3番目に多い労働量輸出大国です。技能実習の在留資格を持つ外国人労働者のうち、約1割をフィリピン人が占めています。
そんな中、外国人労働者の失踪は年々増加しているのが現状です。
失踪の原因はそれぞれですが、残業時間が多いことへの反発をはじめ、割増賃金の不払いや賃金が不当であることへの抗議が大半です。
また、外国人は日本の雇用に関する習慣への理解が、日本人は言語・文化を踏まえた雇用管理が不足している場合が多い状況から、失踪や退職をしてしまう労働者が増加していることも、課題の1つです。
適正な雇用を確保するため、雇用する受け入れ企業のサポートや外国人向けの支援が求められています。
失踪や行方不明者が発生した受け入れ企業のその後
特定技能の外国人労働者を受け入れる企業は、1年以内に受け入れ企業側の責任による理由で行方不明者が出ないようにと、「特定技能外国人受け入れに関する運用要領」で定められています。
受け入れ企業側の責任とは、例えば以下のような場合です。
- 雇用条件で定めた通りの賃金を支払っていない
- 支援計画を実施していない
- 法令違反を行っている
もし、行方不明者が発生してしまったら、受け入れ前の1年間と行方不明になってから1年は、他の特定技能の雇用者を採用できなくなります。
行方不明者以外にも他の特定技能の雇用者がいた場合、その外国人労働者も退職させなければいけません。これは、特定技能の雇用者だけでなく技能実習生においても同様です。
雇用している外国人が失踪してしまった際の手続き
理由がどうであれ、14日以内に「受入困難に係る届出書」を提出する必要があります。
提出先は、受入れ機関の所在地を管轄している地方出入国在留管理局、あるいは地方出入国在留管理局支局になります。
提出方法は持参が難しければ、郵送でも問題ありません。
届け出をしないと、届け出義務違反に抵触し、過料または刑事罰を科せられます。さらに、既に雇用している特定技能人材の社員も全員退職してもらわなければなりません。
また、5年間は新規の採用が不可になります。届け出をしても1年間は採用不可になりますが、違反をした場合の罰則よりは少ないブランクで済みます。
そもそも、失踪者が出ないように注意をするのが大前提ですが、万が一発生してしまったら必ず届け出をするようにしましょう。
外国人労働者が退職する際の手続き
退職する際は、定年退職や雇止め、解雇といった受け入れ企業側の都合によるものと、自主退職によるものの2パターンがあります。
契約途中での退職は、自主退職にあたります。
外国人労働者から退職希望の申し出があった場合、まずは書面で退職願いや退職届けの提出を促します。後から認識の相違により、トラブルに発展するのを避けるためです。
退職後は、労働保険や社会保険についての資格損失処理の手続きを行います。加入している保険会社から資格喪失届という書類を取り寄せて、必要事項を記入します。
貸与している制服や鍵、PCなどがあれば忘れずに戻してもらうようにしてください。
まとめ
外国人労働者が失踪した場合、「受入困難に係る届出書」を地方出入国在留管理局に提出する必要があります。
これを怠ると刑事罰の対象になるので気をつけてください。
自主退職の際は退職願を提出してもらってから、各種保険の資格損失処理を行います。
思わぬかたちで雇用している労働者がいなくなってしまうのは不本意ですが、気持ちを切り替えて手続きは必ず行うようにしましょう。